ポストモーテムとは?障害を「仕組みの問題」として振り返る文書をやさしく解説
障害が直ったあと、なんとなくそのまま流れてしまうとき
夜中の障害をなんとか復旧させて、ほっとひと息。 ところが数週間後、似たような障害がまた起きる——。「前にもこれ、あったよな」と思っても、何をどう直したか誰も覚えていない。
そんな「同じ失敗のくり返し」を止めるための文書が、ポストモーテムです。
ポストモーテムとは?ひとことで言うと
ポストモーテムとは、起きた障害を後から振り返り、「なぜ起きたか」「次はどう防ぐか」を仕組みの言葉でまとめた記録のことです。
ざっくり言うと、「障害のふりかえりメモを、次に活かせる形で残したもの」です。 大事なのは、「誰が悪かったか」ではなく「どういう仕組みだから起きたか」に目を向けること。人を責める文書ではなく、同じことが二度と起きないようにするための文書です。

現場ではどこで使う?
保守運用の現場では、こんな場面で書きます。
- サービスが止まったり、大きく遅くなったりした障害のあと
- 設定ミスやリリース事故で、利用者に影響が出たとき
- 「ヒヤッとしたが大事には至らなかった」ニアミスの共有
- 同じ種類のトラブルが、何度も繰り返しているとき
復旧して落ち着いたタイミングで、記憶が新しいうちに書き残すのが基本です。
なぜ大事なのか
ポストモーテムを書いておくと、障害を「その場しのぎ」で終わらせずに、組織の知識として積み上げられます。 人は忘れます。とくに少人数の現場では、対応した本人がいなくなると、何が起きたかが丸ごと消えてしまいます。文書にしておけば、後から入った人でも「過去にこういう障害があった」と分かり、同じ落とし穴を避けられます。原因を仕組みの言葉で書くからこそ、次の対策につながります。
具体例で見る
たとえば、ディスクがいっぱいになってサービスが止まった障害があったとします。
「担当者がログ削除を忘れていた」で終わらせると、別の人がまた同じことをします。 ポストモーテムでは、「ログが自動で消える仕組みがなかった」「空き容量を見張る監視がなかった」と、仕組みの不足として書きます。そうすると、対策は「気をつける」ではなく「自動削除を入れる」「監視を足す」という具体的な行動になります。
つまり現場では?
ポストモーテムを書くということは、起きたことを時系列で並べ、「どこで何が起き」「なぜ止まり」「次にどう防ぐか」を、責めずに整理する作業です。立派な文書である必要はなく、A4一枚でも、次の人が読んで分かれば十分役に立ちます。
知らないとどう困る?
ポストモーテムがないと、障害は「その場で消火して終わり」になりがちです。 同じ原因のトラブルが何度も再発し、そのたびに同じ時間を奪われます。対応した人の頭の中だけに知識が残り、引き継ぎのときに丸ごと失われることも少なくありません。気づけば「いつも誰かが火消しに追われている」状態から抜け出せなくなります。
よくある勘違い
- ポストモーテムは「反省文」ではありません。個人を責めるためではなく、仕組みを直すために書きます。
- 大きな障害だけのものではありません。小さなニアミスを書き残すほうが、大事故を未然に防げることもあります。
- 立派なフォーマットが必須ではありません。続けられる軽さのほうが、結局は役に立ちます。
明日やるならこれ
直近で起きた小さなトラブルをひとつ思い出し、「いつ・何が起きて・どう直したか・次はどう防ぐか」を4行だけ書いてみましょう。完璧な様式は要りません。一度書くと、次からのふりかえりがぐっと楽になります。
ひとことで言うと
ポストモーテムとは、障害を仕組みの問題として振り返り、再発を防ぐために残す記録のことです。





